やってきた担当医は、俺を慰めるように「とても安らかな表情ですね」と親父の顔を見てそう言った。苦しみもなく逝ったのだと告げて、「お若いのによく頑張りました」と咽び泣く俺を励ました。


 それから、担当医と看護師一同は、親父に向かって「長い間、お疲れ様でした」と深々と頭を下げた。

 俺は、病と戦い続けた親父の姿を改めて見下ろし、彼の頭を優しく撫でて、震える声で親父に別れの言葉を告げた。


「――親父、お疲れ様。…………おやすみなさい」


 一連の儀式のような挨拶が終わった後、俺は葬儀についていくつかの説明を受け、特に決まった場所がなければどうぞと提示された数社の中から一つを選んだ。葬儀社の人間は、それからしばらくもしないうちにやって来た。

 彼らは親父に一礼すると、丁寧に身体を清め始めた。「気に入っている服があれば、それに着替えさせましょう」と言われたので、俺は退院時に親父が着けるつもりでいた、彼の自称一張羅であるカジュアル服を手渡した。