一瞬、俺は心臓を掴まれるような胸の痛みに呼吸を忘れた。
不思議な感覚だった。まるで見えない親父が傍にきたような気がした。俺は慌てて煙草の火を消すと、走って病院へ引き返した。エレベーターのボタンを押したが、待っている時間がとても長く感じ、非常階段から五階まで駆け上がった。
辿り着いた親父の病室の前には、二人の看護師が立っていた。彼女達は悲しそうな顔で、ゆっくりと俺を振り返った。どこからか、耳鳴りのような無機質な機関音が鳴り続けている。
病室に足を踏み入れて、その機械音が親父の脈を計る測定器から流れていることを知った。室内には一人の看護師がいて、親父の点滴と呼吸器を外しているところだった。彼女は俺の姿を認めると、気遣うように「ほんの、つい先程なんですよ」と囁くような声でそう告げた。
親父の心臓は、もう止まっていた。俺は、崩れ落ちそうな足に力を入れて、どうにか親父のそばに歩み寄った。込み上げたのは、強烈な後悔と絶望だった。
不思議な感覚だった。まるで見えない親父が傍にきたような気がした。俺は慌てて煙草の火を消すと、走って病院へ引き返した。エレベーターのボタンを押したが、待っている時間がとても長く感じ、非常階段から五階まで駆け上がった。
辿り着いた親父の病室の前には、二人の看護師が立っていた。彼女達は悲しそうな顔で、ゆっくりと俺を振り返った。どこからか、耳鳴りのような無機質な機関音が鳴り続けている。
病室に足を踏み入れて、その機械音が親父の脈を計る測定器から流れていることを知った。室内には一人の看護師がいて、親父の点滴と呼吸器を外しているところだった。彼女は俺の姿を認めると、気遣うように「ほんの、つい先程なんですよ」と囁くような声でそう告げた。
親父の心臓は、もう止まっていた。俺は、崩れ落ちそうな足に力を入れて、どうにか親父のそばに歩み寄った。込み上げたのは、強烈な後悔と絶望だった。