三日もしないうちに、親父の腹水は一キロ増えた。親父は「針は一時的な処置だから、こんなものだろうな」と冷静に言い、最大値まで増えないよう、まずは必要最低限の点滴を除いて量を減らす交渉を行った。
これまで腹水がたまらないよう飲んでいた量の薬では、もう足りなくなっていたから、腹水の排泄を促す薬の量を増やしてもらってもいた。
その二つの改善点が良かったのか、親父はベッドの上で漫画を読み漁るほど元気になった。文字が見え辛いと言い出したので、俺は彼が求める度数の老眼鏡を探しまわり、購入して持っていってやった。
「もうお前、泊まっていけば? ベッドならあるだろう」
「無理言うなよ。俺、明日も仕事なんだから」
親父のお喋り好きは、ここへ来ても変わっていなかった。親父はテレビを眺め、時折漫画のページをめくりつつ、のらりくらりと話題を振ってくる。よく話の内容が頭に入るな、と俺は親父の頭脳に感心したものだ。
これまで腹水がたまらないよう飲んでいた量の薬では、もう足りなくなっていたから、腹水の排泄を促す薬の量を増やしてもらってもいた。
その二つの改善点が良かったのか、親父はベッドの上で漫画を読み漁るほど元気になった。文字が見え辛いと言い出したので、俺は彼が求める度数の老眼鏡を探しまわり、購入して持っていってやった。
「もうお前、泊まっていけば? ベッドならあるだろう」
「無理言うなよ。俺、明日も仕事なんだから」
親父のお喋り好きは、ここへ来ても変わっていなかった。親父はテレビを眺め、時折漫画のページをめくりつつ、のらりくらりと話題を振ってくる。よく話の内容が頭に入るな、と俺は親父の頭脳に感心したものだ。