「了解。天麩羅というと、いつものエビ天でいいのか?」
「おう。一本でいいぞ。二本食うと、塩分量がオーバーするからな」
「知ってるよ。それなら、また半分ずつ食べよう。そうしたら、別の天麩羅も半分食えるだろ」
「そうだな。もう一つの方は任せた。食えるようになったら即効でメール入れる」

 親父は、機械類にかなり強く習得も早かった。去年、料金の関係で彼の名義だった携帯電話を解約し、俺の名義でスマートフォンを買い与えたのだが、既に他のアプリも使いこなすほどの腕前だった。


 俺の状況を知っている会社の親しい同僚達は、最近になって、俺の生活リズムが滅茶苦茶だと言うようになっていた。まだ若いから大丈夫だと、俺は一言で押し切り生活を続行していた。

 救急車のサイレンの音や、いつ病院から緊急の連絡が入るか分からない不安に押し潰されそうになっていたから、夜も眠れない事があった。それでも重たい身体をひきずってしまうのは、親父譲りの、元来からの頑固さのせいなのかもしれない。