以前との違いは、食べた物が腹水に回らないよう、一度に腹に入れる量を少し減らしているという点だ。それでもここ一年で、親父は随分痩せた。手首も足も細くなり、喉や鎖骨が浮き出ているせいで、余計に膨らんだ腹部が目立った。

「二年ほど前から警戒している食道静脈瘤が、かなり大きくなっています。もし最悪、これが破裂して場合は、覚悟しておいてください」
「助からない、ということでしょうか……?」
「今までの比にならない激痛と流血を伴いますから、今のお父様の体力を考えれば助からないでしょう。――出来れば、それが破裂しないよう静かな生活を送らせる方がいい。内臓を圧迫するような、重い物を持ち上げて運ぶ動作なども、出来るだけ控えさせて下さい」

 茫然とする俺に、担当医はレントゲンと胃カメラで撮影した画像を見せながら語った。一通り説明を終えると、少し申し訳なさそうな顔をして、労わるような優しい声でこう言う。