初めて二週間を超える入院生活を送った後、親父の体調は、以前にも増して変動しやすくなった。
風邪をこじらせる率が上がったのは、身体の免疫力が回復しないまま落ち続けているせいだ。体調が悪い日は、決まって腹水が増加するようになり、「腹が重いから食欲も減退しているなぁ」と親父は不満をこぼした。
下血や吐血も、一ヶ月半に一回という頻度で起こり始めた。
その頃になると、親父は自分の体力がゆっくりと落ちているのを実感しているらしく、動く合間にとる休息時間を増やしていった。仕事に没頭する時間を減らし、体調がすぐれない場合は、自主的に胃腸に一番優しいと思われる療養食に切り替え、病室生活から得たリズムを見習ってたっぷり二日間は休んだりした。
親父は下血や吐血にも慣れたもので、「あ、そろそろ来そうだな」と察知すると、保険証や一日分の薬を小さな鞄に詰め込んで、すぐ手に取れる範囲内に携帯電話を用意した。僅かな流血を確認すると、俺が動けない時間以外は通い先の病院に電話をして、救急車で迎えに来てもらうようになっていたのだ。
風邪をこじらせる率が上がったのは、身体の免疫力が回復しないまま落ち続けているせいだ。体調が悪い日は、決まって腹水が増加するようになり、「腹が重いから食欲も減退しているなぁ」と親父は不満をこぼした。
下血や吐血も、一ヶ月半に一回という頻度で起こり始めた。
その頃になると、親父は自分の体力がゆっくりと落ちているのを実感しているらしく、動く合間にとる休息時間を増やしていった。仕事に没頭する時間を減らし、体調がすぐれない場合は、自主的に胃腸に一番優しいと思われる療養食に切り替え、病室生活から得たリズムを見習ってたっぷり二日間は休んだりした。
親父は下血や吐血にも慣れたもので、「あ、そろそろ来そうだな」と察知すると、保険証や一日分の薬を小さな鞄に詰め込んで、すぐ手に取れる範囲内に携帯電話を用意した。僅かな流血を確認すると、俺が動けない時間以外は通い先の病院に電話をして、救急車で迎えに来てもらうようになっていたのだ。