血液の検査結果の数値が思わしくないのは、吐血のせいばかりではなく、親父自身の身体が本格的に弱っているせいだ。けれど初めて倒れた時のような急激な数字の変化がないせいか、親父は癌が悪化しているわけでもないという認識から、精神的にも落ち着いていた。
俺は、悪い方向に考えそうな言葉は口にしなかった。去年倒れた時もこんな感じだったよな、季節の変わり目に弱いって、あの医者も笑ってたもんな……といってからかい口調で親父を励ました。親父は眉根を寄せて、「笑いごとじゃないのに、お前らときたら」と愚痴った。
「時期によって体調も崩しやすい。そもそも、俺は病気持ちなんだからしょうがないだろうが」
「そうだ。病気持ちの人は、体温調整が少し難しいからこの時期は多いって、あの医者も言っていたもんな」
俺が促すと、親父は少し考えて「確かにな」とどこか納得した顔で頷いた。
俺は、悪い方向に考えそうな言葉は口にしなかった。去年倒れた時もこんな感じだったよな、季節の変わり目に弱いって、あの医者も笑ってたもんな……といってからかい口調で親父を励ました。親父は眉根を寄せて、「笑いごとじゃないのに、お前らときたら」と愚痴った。
「時期によって体調も崩しやすい。そもそも、俺は病気持ちなんだからしょうがないだろうが」
「そうだ。病気持ちの人は、体温調整が少し難しいからこの時期は多いって、あの医者も言っていたもんな」
俺が促すと、親父は少し考えて「確かにな」とどこか納得した顔で頷いた。