薬とは相性が悪いグレープフルーツも、今の親父には大敵だった。ジュースの中に少しでも混じっていると、吐き気と気だるさに悩まされるのだ。
うっかり確認せずに買った野菜ジュースで当たった時なんかは、恨めしげな目を寄越された。親父はグレープフルーツに敏感になっていたから、すぐに気付いて微量摂取で済んで大事に至る事はなくて、俺はいつも笑って「ごめん」と誤魔化したりした。
親父の闘病は、大変気を遣うものばかりだ。グレープフルーツの件の他にも、朝と晩に飲む薬に乳製品は相性が悪かった。ヨーグルトも日中にしか摂取出来ないのが、親父には不満なようだった。どうやらヨーグルトの味が気に入ってしまったらしく、闘病三年目には、全くゼリーに見向きもしなくなっていた。
そんな中、親父は相変わらず仕事も続けていた。
仕事を終えた俺がやってくるまで、店に看板の灯かりがついている時もあった。営業終了時間は過ぎているだろうと指摘してやると、怪訝な顔で「ちッ」と舌打ちしたりする。そのたびに俺は「小煩い息子で悪かったな」と愚痴るのだ。
うっかり確認せずに買った野菜ジュースで当たった時なんかは、恨めしげな目を寄越された。親父はグレープフルーツに敏感になっていたから、すぐに気付いて微量摂取で済んで大事に至る事はなくて、俺はいつも笑って「ごめん」と誤魔化したりした。
親父の闘病は、大変気を遣うものばかりだ。グレープフルーツの件の他にも、朝と晩に飲む薬に乳製品は相性が悪かった。ヨーグルトも日中にしか摂取出来ないのが、親父には不満なようだった。どうやらヨーグルトの味が気に入ってしまったらしく、闘病三年目には、全くゼリーに見向きもしなくなっていた。
そんな中、親父は相変わらず仕事も続けていた。
仕事を終えた俺がやってくるまで、店に看板の灯かりがついている時もあった。営業終了時間は過ぎているだろうと指摘してやると、怪訝な顔で「ちッ」と舌打ちしたりする。そのたびに俺は「小煩い息子で悪かったな」と愚痴るのだ。