どこか弱々しく笑った親父に、俺は何気ない風を装いながらそう言った。

 多分、それは願望に似た想像だったけれど、俺は一瞬、親父が元気になって喜々として大学に通う未来を見たような気がして、涙腺が緩んでしまった。だから、それ以上その話題を続ける事は出来なかった。

 俺が学生の頃、真面目に勉強しない事を、親父が何度も厳しく叱りつけていた事を思い出した。もしかしたら、親父は勉強が好きだったのかもしれない。俺は、自分がひどい事をしていたのだと後悔を覚えた。

 親父は、病気や健康に関するテレビ番組もよく見ていた。自分自身が闘病中ということもあり、実際にその料理や飲料で自分が元気になっているという実感もあったから、余計に興味があったんだろう。

 そのおかげで、自然と俺の知識も深くなっていった。精神安定剤と睡眠薬を一緒に摂ると、特に大変なことになる。親父は酔っぱらったみたいになるし、思考能力も記憶も曖昧になって、体調も体重も一気に落ちる。