親父は、変なところでも頭のよく回る男だったようだ。俺が高校時代から煙草をやっていた事も知っているらしく、そこは自分と同じだから「煙草は美味いから仕方がない」と怒りもしなかったと告げられた。だからこそ再会した折り、俺に煙草を辞めろと言われたのが、ひどく気に食わなかったらしい。
酒で人生を駄目にすることもあるんだなと、俺は親父を見てそう思わされた。親父は大学時代に酒に溺れ始め、金回りが難しくなって退学し店を立ち上げた。頭はあるのに、酒の席で安易に保証人になった借金が回って来て苦労したらしい。
ある日、テレビを見ていた時に、親父がふとこう言った。
落ち着いたら、工科系の大学に行こうと思っていたのだと、そう呟いたのだ。
「イツキ、このCMの大学を知っているか? 宇宙工学なんて面白そうだろう。いつか、お前が行ってくれよ」
「俺には無理だって。病気を治して、あんたが自分で行ってこい」
「行けるかなぁ」
「行けるだろ。何歳からだって勉強は出来るんだから」
酒で人生を駄目にすることもあるんだなと、俺は親父を見てそう思わされた。親父は大学時代に酒に溺れ始め、金回りが難しくなって退学し店を立ち上げた。頭はあるのに、酒の席で安易に保証人になった借金が回って来て苦労したらしい。
ある日、テレビを見ていた時に、親父がふとこう言った。
落ち着いたら、工科系の大学に行こうと思っていたのだと、そう呟いたのだ。
「イツキ、このCMの大学を知っているか? 宇宙工学なんて面白そうだろう。いつか、お前が行ってくれよ」
「俺には無理だって。病気を治して、あんたが自分で行ってこい」
「行けるかなぁ」
「行けるだろ。何歳からだって勉強は出来るんだから」