アルコールの入っていない親父と接してからというもの、俺はこれまで知らなかった親父の一面を多く知ることになった。

 例えば彼が、若い頃から少しだけミルクを入れただけの珈琲が好きだったこと。再利用のしやすい鍋料理を気に入っていて、煙草は一日一箱を軽く吸い、友人からもらったジッポライターを今でも愛用していること。

 コメディ番組が好きで、応援している漫才師も何組かいて、音楽は昔から好きで最近の若手の曲も耳にしていて、昔から文章を書くことがとても得意だった事……

「金がなくて卒業は出来なかったが、大学時代は、代理で論文を書いて稼いだもんだ」
「それ、駄目だろ。罰則ものじゃないか」
「抜かりはないさ、相手の文章の癖や字も真似ていたから発覚した事もない。当時は学生の数も多かったからなぁ」

 過去の行いについて、親父はニヤリと述べた。