親父は、若い頃は料理人として食っていた経験があり、俺よりも料理が出来たから、その頃になると夕食当番はほとんど親父が進んでやっていた。
寒い時期には鍋料理が続いて、玄関を入ってすぐに匂う鍋の気配に俺が「またかよ」と顔を引き攣らせると、親父は小馬鹿にするような笑みを見せた。彼は、好きな時に食しやすいという理由もあって、鍋料理を大層好いていた。
金はだいぶかかったが、俺はそれを認めたうえで、闘病に関する金は惜しまなかった。親父は気にしたように忠告してきたが、俺も頑固者だ。やりたいから勝手にさせろといってからは、親父も買い物を頼むのに遠慮をしなくなった。
煙草はいつも一カートン、野菜ジュースは飲みきりタイプを各種――ただし、副作用を起こすフルーツや成分の入っていない物に限る――飽きないようにヨーグルトも賞味期限を計算しながら、安い物から高い物まで各種取り揃えて、食材に関しては俺が無農薬や有機栽培に凝った。
寒い時期には鍋料理が続いて、玄関を入ってすぐに匂う鍋の気配に俺が「またかよ」と顔を引き攣らせると、親父は小馬鹿にするような笑みを見せた。彼は、好きな時に食しやすいという理由もあって、鍋料理を大層好いていた。
金はだいぶかかったが、俺はそれを認めたうえで、闘病に関する金は惜しまなかった。親父は気にしたように忠告してきたが、俺も頑固者だ。やりたいから勝手にさせろといってからは、親父も買い物を頼むのに遠慮をしなくなった。
煙草はいつも一カートン、野菜ジュースは飲みきりタイプを各種――ただし、副作用を起こすフルーツや成分の入っていない物に限る――飽きないようにヨーグルトも賞味期限を計算しながら、安い物から高い物まで各種取り揃えて、食材に関しては俺が無農薬や有機栽培に凝った。