親父の三週間ごとの通院が決定した病院の帰り道、車の運転も出来なくなった親父が、唐突に「買い物をしたい」言い出した。二週間も家に閉じこもっていた反動がきたらしい。

 俺は病院の近くにある大型スーパーへ立ち寄り、車椅子を借りて親父を乗せた。親父は車椅子で店内を回りながら、使えそうな食材を次々に買い物かごに放り込んでいった。

 野菜やキノコ類の他、無添加の野菜ジュース、医者が勧めていたヨーグルトや牛乳、塩分の低い駄菓子、水分摂取で乾く喉を誤魔化すための飴玉……食材だけで一万円近くかかった。俺は文句も言わずに支払った。


 頭がしっかりしてくると、親父自身も薬の飲み合わせや減塩の調理方法を覚え始めた。一人でも歩けるようになり自炊も可能だと見届け、俺も仕事を再開する事にした。


 親父の思考能力の機能が以前のように戻ると、当然のように文句も増えて喧嘩になる。俺が仕事を再開した初日は、夕方に様子を見に来ると親父が機械修理をしていて「なんで休んでいないんだ」と俺が指摘した事をきっかけに喧嘩になった。