食事で摂るお米は、柔らかい粥が主流となる。けれど、ある程度の栄養は大事なので、俺は本から得た知識を駆使し、あらゆる野菜やキノコ類を細かく切り刻んで雑炊を作った。おかずも細かく柔らかい物に仕上げるため時間はかかったが、それで親父が食えて、元気になってくれるのなら構わなかった。

 親父は次第に、ゆっくりではあるが自立で歩けるようになっていった。

 強い薬を飲用したあとは、副作用で足が上がらずに転ぶ事もあったが、親父の憎ったらしい眉間の皺も戻り始めた。その頃には頭も通常思考が戻り、掠れた弱い声量ながら、いっちょ前に文句をこぼすようになった。

 そうなると、当然のように口喧嘩になった。彼はまず、俺の料理が不味いと不満をぶちまけた。塩分をほとんど抜いているから当たり前だろう、と俺は怒鳴り返したが、彼が残した料理を食っている俺も、全く素材の味しか活かされていない食事は不味い事を知ってはいた。