けれど面倒を見なければならない義務が発生してしまっているのは明白で、俺は上司にメールで事情を説明し、連続休暇を取ることにした。迷惑がかかる場合は、最悪、今の仕事を辞めなければならないだろうとも思っていた。

 なぜ自分がそこまで考えたのか、その時は、頭の中が忙しくて気付かなかった。

 多分俺は、大嫌いな親父の面倒を見る事を、彼を引き取ると医者に答えた時から既に決めていたのだと思う。


 こうして、俺と親父の人生が再び交わった日々が始まったのだった。

             ◆◆◆

 親父と再会して数日間、片付けても片付かないような家の中で、俺は親父の面倒をみながら、秋の冷たい風もそっちのけで汗だくになって室内の掃除を進めた。

 強い薬の副作用で、親父は吐き気と眩暈に苦しむことがあった。塩分の他、カリウムと脂質といったいくつかを極端に抑えられたうえ、カロリー制限もあった。その際、食材の一部が薬の副作用を強くする事があるらしい、とも遅れて気付かされた。