「いい機会だからはっきり聞くけど、あんた一体どういうつもり⁉」

「……どういうつもりとは?」

「私を貴妃になんかして、何を(たくら)んでいるのよ!」

 雪蓉が怒鳴るように詰め寄っても、劉赫は意に介さない。

「企んでなどいない。言っただろう、仙になるよりも幸せな方法があると」

「あんた私の言葉聞いてた⁉ 妃なんて私には魅力の欠片もないの! それに、仙になる以上の望みなんて私にはないわ!」

 相変わらずの強い意思に、劉赫の表情が曇る。

「仙は駄目だ」

「なんでよ」

「絶対に許さない。例えどんな手を使っても。後宮が嫌いだろうと、俺が憎かろうと、仙にだけはさせない」

(お前だけは、絶対に……)

 劉赫の気迫に押され、雪蓉は思わず黙り込んだ。

そして、はあと大きなため息をつく。

「理由は話せないけど、とにかく私を仙にしたくないのね」

「そうだ」

「……そんなこと言われて納得できるわけないでしょ! それに、どうして貴妃なのよ! なんでよりにもよってあんたの女にならなきゃいけないのよ!」

「本当は、皇妃にしたかったんだが……」

 劉赫はとても残念そうに、そして申し訳なさそうに言った。

「皇妃⁉ そっちの方が大問題よ! 貴妃もありえないけど、皇妃の方が断然嫌!」

「一応肩書は貴妃だが、俺にとって嫁はお前だけだ」

 なぜか劉赫は胸を張って応える。