「それがね、私もそこら辺わからないのよね」

「貴妃になってすぐの頃は、俺のこと大嫌いだっただろ。触れたら死ぬって言ってたくらいだから」

「そうなんだけど、確かに大嫌いでもあったんだけど、でも、急にいなくなってからずっと気にはなっていたのよね」

「え、大怪我して平手打ちをした頃から?」

「う~ん、あの頃の気持ちが好きっていう感情なのかわからないんだけど。

好きだって自分で気づいたのは、劉赫が死んじゃったって思った時かな。

でもその前から好きだったんだと思う」

 一方的な片思いだと思っていた劉赫にとって、雪蓉の話は衝撃的だった。

まったくの脈なしだと思っていたから、驚きはもちろん嬉しさも格別だった。

「雪蓉」

「なに急に、真面目な顔して」

「触れてもいいか?」

「え……」

 雪蓉は急に恥ずかしくなって俯いた。

「指一本触れたら、舌噛んで死ぬって言っていたけど、もう、触れていい?」

「え……」

 言葉にしていわれると、急に覚悟が必要になる。

触れても、もちろんいいけれど、それを言葉にするのは怖かった。

「触れたい」

 真顔で迫ってくる劉赫の視線を避け続ける。

真っ直ぐに隠すことなく自分の気持ちをぶつけてくる劉赫に、自分はどれだけ応えることができるだろうか。

「……うん」