「三百歳⁉ いやそこで驚く前に、料理したら寿命が減るの⁉ ということは私、料理作れないってこと⁉」

 雪蓉は、仙が魔物という事実よりも、料理が作れないということの方が衝撃だった。

 料理を作ることは雪蓉の生きがいであり喜びだ。

だからこそ、仙になりたかったのに本末転倒とはこのことだ。

「でもまあ、作っちゃいけないわけじゃないのよね。ただ寿命が減るだけで。別に三百年も生きたいわけじゃないから、いいか……」

 ぶつぶつと呟く雪蓉を前に、劉赫は別のことを考えていた。

 雪蓉が仙となってしまった以上、どうするか。

以前とまったく変わってない様子なので、そこは安心するが、これからどうなっていくのか分からない。

どうすれば雪蓉を守っていけるのか、劉赫は思案に暮れた。

 一通りの説明を終えた雪蓉は、ようやく侍医に劉赫が目覚めたことを告げに行った。

劉赫が目覚めたことに、宮廷中が喜びに溢れる。

 劉赫が目覚めてすぐに侍医を呼びに行くべきだったかしらと雪蓉は思ったが、劉赫の元気な姿を見ようと侍医のみならず、官僚たちがひっきりなしに訪れるので、雪蓉は後宮に戻らざるを得ない状況となった。

 先に説明しておいて良かったと雪蓉は思った。でなければ、劉赫と話しをすることもできなかった。

 
 劉赫が驚異的な回復力を見せ、立ち上がり普段の生活に支障がなくなったのは、目覚めてから数日後のことだった。

宮廷の混乱も治まり、通常通りの生活になった頃、まるでそれを見計らったかのように、華延が動いた。