劉赫は全ての真実を告げるべきか逡巡した。

考えて、もう隠し通すことはできないと思った。

なにしろ雪蓉は仙術を使えるようになったのだから。

「山奥で暮らし修行を極めた者だけが仙術を扱えるようになるといわれている。

それはある意味では正しく、一方では言葉足らずだ。仙は肉体を超越した力を持つ。

それはすなわち人ならざる者。

極めた一部の力にのみ強大な力を発揮できる。

饕餮を治める仙は、饕餮が無限の食欲を持つことから、食に特化した力を持つことができる。

麗影様はおそらく、毒花に非常に強い関心を寄せていたから、毒実に仙術をかけ人を操る力を得たのだろう。

強い思いに呼応し、仙の力を得ることができるが、強い思いとは憎しみや執着もその類に入る。

負の感情からも仙になることができる。

仙は魔物に近しい存在なんだ」

「魔物……」

「魔物が山に住んでいるとなれば、人々は恐れて近寄らなくなる。

だから、仙のいいところだけを伝えて、敬う存在としたんだ。

四凶を鎮めることは仙にしかできない。

だから仙を生かしておく代わりに、鎮めの役割を与えた」

 劉赫の言葉を聞いていると、本来は排除すべき存在であると思っているのが伝わってきた。

仙は、魔物……。

四凶と同じような分類なのだ。

 雪蓉は聞いているうちに、だんだんと落ち込んでいった。

自分は、魔物になってしまったのか……。