正直いって、二か月前ほど前、四凶の一つ、驩兜を倒したことはほとんど覚えていなかった。
神龍を解き放ったあとは、驩兜から逃げているのか、神龍から逃げているのか、分からないありさまだった。
神龍は容赦なく劉赫を襲ってきたし、神龍が驩兜を倒したのを確認する前に気を失った。
目が覚めた時は、馬屋にいた。
どうなったのか自分の目で見てはいないが、無事にやり遂げたのだろうということは分かった。
あの場にいて、助かる者などいようはずがないのだから。
実際、宮廷に戻ると、全てが円満に終わったとの報告を受けた。
驩兜は倒され、驩兜を鎮める仙が再び結界へと戻した。四凶は倒すことはできても、殺すことはできない。
神龍もそうだが、彼らに生死はない。
永遠に居続ける存在なのだ。
だから、鎮めておく必要がある。
四凶の場合、それを担う存在が仙で、神龍を収めるものが皇帝の体だ。
だが、円満に終わったとはいっても、山一つ潰れた。
饕餮の住む山からだいぶ離れていたにも関わらず、自分はあそこに辿り着いたとなると、川で流されたのか神龍に飛ばされたのか分からない。
とにかく生きていたということが奇跡だった。そして、奇跡が二度起きるとは限らない。
それでも……。
劉赫は目を閉じて、息を吐き出す。
それでも、守るべきものがあるのだ。自分はそのためにいるのだから。
饕餮が大きな口を開いて神龍に突進していった。
神龍は、長い尻尾で饕餮を弾き飛ばす。
饕餮は「ぎゃん」と一声泣き、壁に激突するが、すぐに立ち上がった。
饕餮と神龍の戦いを見ながらも、いつ攻撃の矛先が自分に向かってくるか分からない。
神龍が饕餮を倒したら、次は自分にくるのだろうなと、まるで他人事のように考える。
饕餮は大きな角で神龍の胴体を突き刺すと、痛みで怒った神龍の長い胴体が暴れ狂う。
蛇のように長いそれは、大廟堂の中を上下左右に揺れ動き、逃げきれなかった劉赫の体に当たる。
神龍を解き放ったあとは、驩兜から逃げているのか、神龍から逃げているのか、分からないありさまだった。
神龍は容赦なく劉赫を襲ってきたし、神龍が驩兜を倒したのを確認する前に気を失った。
目が覚めた時は、馬屋にいた。
どうなったのか自分の目で見てはいないが、無事にやり遂げたのだろうということは分かった。
あの場にいて、助かる者などいようはずがないのだから。
実際、宮廷に戻ると、全てが円満に終わったとの報告を受けた。
驩兜は倒され、驩兜を鎮める仙が再び結界へと戻した。四凶は倒すことはできても、殺すことはできない。
神龍もそうだが、彼らに生死はない。
永遠に居続ける存在なのだ。
だから、鎮めておく必要がある。
四凶の場合、それを担う存在が仙で、神龍を収めるものが皇帝の体だ。
だが、円満に終わったとはいっても、山一つ潰れた。
饕餮の住む山からだいぶ離れていたにも関わらず、自分はあそこに辿り着いたとなると、川で流されたのか神龍に飛ばされたのか分からない。
とにかく生きていたということが奇跡だった。そして、奇跡が二度起きるとは限らない。
それでも……。
劉赫は目を閉じて、息を吐き出す。
それでも、守るべきものがあるのだ。自分はそのためにいるのだから。
饕餮が大きな口を開いて神龍に突進していった。
神龍は、長い尻尾で饕餮を弾き飛ばす。
饕餮は「ぎゃん」と一声泣き、壁に激突するが、すぐに立ち上がった。
饕餮と神龍の戦いを見ながらも、いつ攻撃の矛先が自分に向かってくるか分からない。
神龍が饕餮を倒したら、次は自分にくるのだろうなと、まるで他人事のように考える。
饕餮は大きな角で神龍の胴体を突き刺すと、痛みで怒った神龍の長い胴体が暴れ狂う。
蛇のように長いそれは、大廟堂の中を上下左右に揺れ動き、逃げきれなかった劉赫の体に当たる。