目を覚ますと、そこには見慣れない景色が広がっていた。
ここはどこなんだろうか。
あの時、間違いなく俺はあいつと一緒に屋上から落ちたはずなのに、
いつの間にやら酒場の様な所に来ている。

漫画とかでよく見る異世界転生という言葉が頭をよぎるが、
そんなの夢物語に過ぎない。
そうだ。これは夢なんだ。
きっと死ぬ間際に見る都合の良い夢。
だとしたら、せめてこの一瞬でも楽しもう。
そう思い、飲んだこともないお酒を注文しようと手をあげかけると、
隣のおじさんに話しかけられた。

「あんちゃん、勇者なんだろ?頼むからこの街をこの魔王の手から救ってくれよ!」

RPGの様な展開にちょっとわくわくしながらその似顔絵を見る。
しかし、その顔を見て絶句した。

「えっ、これって…」