「……分かった。家出したくなったら、寂しいを落とすから」

「うん、なるべく早く返事する。あと、進路だけど、○○高校が良いかもしれない。あそこは美術、とくにデッサン画に力を入れていて、高校美術展での評価も高いから」

「○△高校は?俊哉先生のとこ」

「僕が教えるより、優は、もっと伸ばせるとこに行った方がいい、優は、自分が思ってる以上に、生きた絵を描けるから。将来を考えたら、僕の高校は勿体ないよ」


俊哉が、にこりと笑った。そして、その笑顔を最後に俊哉とは、二度と会うことはなかった。

ただ、あの夜、俊哉に会って、私は、少しだけ未来を感じることが出来たように思う。