「じゃあ、優、そろそろ帰ろうか。途中まで送るから」
夢中で、絵を描いていて時間を忘れていた。
公園の背の高い時計の針は21時を回っている。俊哉は、スケッチブックを仕舞うと、コンビニ袋を持ち上げた。
「あの、先生」
「ん?これは、僕が捨てておくから気にしないで」
「ううん、そうじゃなくて……」
不思議だった。もっと話したい、もっと一緒の時間を過ごしたい、そう思った。
「また会える?」
俊哉は、案の定、少しだけ困ったような顔をした。
「うーん、会うのは最後かな。僕は教師だからね。これも、所謂大人の事情だけど」
「クマ先生は答えてくれる?」
「そうだな、まさか、優が年齢を偽ってたとは思わなかったから……本当はダメだけどね、聞かなかったことにするよ」
そう、サイトの登録をする際、未成年では登録出来なかったため、私は18歳で入力していた。
「寂しいはいつでも落として構わないから。
でもね、……家出は今日で最後にしてもらえたら、教師の身としては安心するだけどね」
俊哉が確認するように、私の顔を覗き込んだ。