私が何処かで見てると分かっていたのだろう。その上で、会わない選択をした私を、怒るどころか、食事の心配までしてくれる俊哉に、胸がチクンとした。

『ごめんなさい、有難う御座います』

私は、すぐにそう返事をした。そしてすぐにきた、俊哉の返事に目を見開いた。

『本当、何かあったらすぐに連絡を。女の子が一人で公園はやっぱり心配だから。僕は、高校の教師をしています。信じてもらえるかわからないけれど、隣町の○△高校で美術を教えています』

どうして、私が男の子のフリをしてたって分かったんだろう。それに美術、……私が唯一学校で、授業にでる科目だ。

立ち上がって、ベンチに背を向ける俊哉に向かって、私は思わず駆けて出していた。本当に高校の先生なのかとか、何を言おうとか、どうしようとか、頭の中では色々思うのに、俊哉の背中を見たら、全部吹き飛んでいた。


俊哉(としや)先生!待って!」