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海雨の状態に変化があった。
昼休みに海雨のお母さんから直接電話をもらった私は、教師(せんせい)への言い訳もそこそこに学校を飛び出した。
架くんや黒ちゃんに説明する余裕もなく、言伝をるうちゃんに頼んで紅と二人病院へ駆けた。
途中で、時空の妖異であるるうちゃんを頼れば秒間もなく病院へたどり着けることに思い出したけど、学校でそこまで考えは及ばなかった。奥歯を噛みしめてただ駆ける。
病室へ入ると海雨も海雨のお母さんの姿もなく、ナースセンターで看護師さんを捕まえて、海雨がいる場所を訊き出した。
手術中の紅いランプの点いた扉の前のベンチに座り込む二人の姿があった。
「おばさんっ、おじさんっ!」
駆け寄ると、二人が顔をあげた。
海雨の両親は仕事を抜けてきたようで、どちらもスーツ姿だった。
「真紅ちゃん……ごめんね、学校なのに……」
「そんなこといいんですっ、海雨、今、ここに?」
か細く声の揺れる海雨のお母さんの肩を抱いて、お父さんの方が唇を噛んで肯いた。
手術中の灯りは変わらない。ただ、私にわかるのは、その奥にある『私のお姫様』の存在。
「梨実さん!」
真紅に次いで来たのは、今この病院にはいないはずの黎と澪さんだった。
「二人とも、どうし……?」
海雨のお父さんが驚きを隠さないで二人を見る。
「父から連絡、ありまして。海雨さん、手術入ったんですか?」
澪さんが問う。私は舌打ちしたいのを、澪さんの隣の黎の姿を見ることでなんとかこらえた。
黎が、辛そうな顔をしている。
海雨の状態に変化があった。
昼休みに海雨のお母さんから直接電話をもらった私は、教師(せんせい)への言い訳もそこそこに学校を飛び出した。
架くんや黒ちゃんに説明する余裕もなく、言伝をるうちゃんに頼んで紅と二人病院へ駆けた。
途中で、時空の妖異であるるうちゃんを頼れば秒間もなく病院へたどり着けることに思い出したけど、学校でそこまで考えは及ばなかった。奥歯を噛みしめてただ駆ける。
病室へ入ると海雨も海雨のお母さんの姿もなく、ナースセンターで看護師さんを捕まえて、海雨がいる場所を訊き出した。
手術中の紅いランプの点いた扉の前のベンチに座り込む二人の姿があった。
「おばさんっ、おじさんっ!」
駆け寄ると、二人が顔をあげた。
海雨の両親は仕事を抜けてきたようで、どちらもスーツ姿だった。
「真紅ちゃん……ごめんね、学校なのに……」
「そんなこといいんですっ、海雨、今、ここに?」
か細く声の揺れる海雨のお母さんの肩を抱いて、お父さんの方が唇を噛んで肯いた。
手術中の灯りは変わらない。ただ、私にわかるのは、その奥にある『私のお姫様』の存在。
「梨実さん!」
真紅に次いで来たのは、今この病院にはいないはずの黎と澪さんだった。
「二人とも、どうし……?」
海雨のお父さんが驚きを隠さないで二人を見る。
「父から連絡、ありまして。海雨さん、手術入ったんですか?」
澪さんが問う。私は舌打ちしたいのを、澪さんの隣の黎の姿を見ることでなんとかこらえた。
黎が、辛そうな顔をしている。