交番まであと10メートルもない。間接照明が私たちを照らすスポットライトのようで、煩わしい。
遼太郎が手を離そうとしたから、慌てて阻止をする。手のひらの血はすでに乾いていて、パラパラと赤い結晶が落ちていく。
正面から抱きしめた。遼太郎はゆるく抱きしめ返してくれた。
「…麗華は、俺なしで生きていけるよ。人殺しの俺を気にかけちゃダメだからな。あの悪夢のことも俺のことも忘れて、生きて」
遼太郎の服を握りしめて、ぼろぼろと涙をこぼして嗚咽を吐くだけで、声にならない声ばかりで、私は何にも言葉を持たないけれど、わかってほしい。
私にとって遼太郎は神さまだよ。
でも、遼太郎に待ち受けているのは、現実の正しさにすり潰される日々だと思う。今までの人生を、その存在全てを否定され、間違いを正される。私がいないところで、遼太郎はすり減らされる。
遼太郎はいつか、私に出会ったことを後悔する。それでも、私だけは確信してる。
「…忘れない。遼太郎を選んだ私は、絶対に間違ってないから」
私の中で、私と遼太郎は生き続ける。道に焼き付いた記憶のまま、永遠に、きれいなまま。
遼太郎が手を離そうとしたから、慌てて阻止をする。手のひらの血はすでに乾いていて、パラパラと赤い結晶が落ちていく。
正面から抱きしめた。遼太郎はゆるく抱きしめ返してくれた。
「…麗華は、俺なしで生きていけるよ。人殺しの俺を気にかけちゃダメだからな。あの悪夢のことも俺のことも忘れて、生きて」
遼太郎の服を握りしめて、ぼろぼろと涙をこぼして嗚咽を吐くだけで、声にならない声ばかりで、私は何にも言葉を持たないけれど、わかってほしい。
私にとって遼太郎は神さまだよ。
でも、遼太郎に待ち受けているのは、現実の正しさにすり潰される日々だと思う。今までの人生を、その存在全てを否定され、間違いを正される。私がいないところで、遼太郎はすり減らされる。
遼太郎はいつか、私に出会ったことを後悔する。それでも、私だけは確信してる。
「…忘れない。遼太郎を選んだ私は、絶対に間違ってないから」
私の中で、私と遼太郎は生き続ける。道に焼き付いた記憶のまま、永遠に、きれいなまま。