「陛下の正式名は、上位悪魔と信頼ある者のみにしか知らされておりません」
「あの、私は正式に名乗られてないからセーフですよね? ……ルチアーノさん、そろそろ手を離してあげてもいいんじゃないでしょうか。ルイさんが可哀そうです」
物言いたげなルイを見てそう告げると、ルチアーノは無表情のまま、上司に非礼を詫びて口を解放した。
ルイはクリストファーに向き直ると、困ったように微笑んでこう告げた。
「クリス、でよかったかな。ティーゼとは友達になったから、僕は愛称である『ルイ』と呼んで欲しいとお願いしただけだよ」
「身分高い魔族が、名を呼ぶ事を許可する行為は、自分のものであると下位の者に知らしめる『契約』だと伺っていますが、つまり今回に関しては、魔力による口頭契約ではないということですか?」
クリストファーが、非難するように目を細めた。
ルイは、困ったように微笑んで「契約ではないよ。『悪魔の恩恵』は与えていないから、安心して欲しい」と諭すような口調で答えた。
初めて聞くにしては物騒な響きの言葉が聞こえて、ティーゼは、しばし呆気にとられていた。
「あの、私は正式に名乗られてないからセーフですよね? ……ルチアーノさん、そろそろ手を離してあげてもいいんじゃないでしょうか。ルイさんが可哀そうです」
物言いたげなルイを見てそう告げると、ルチアーノは無表情のまま、上司に非礼を詫びて口を解放した。
ルイはクリストファーに向き直ると、困ったように微笑んでこう告げた。
「クリス、でよかったかな。ティーゼとは友達になったから、僕は愛称である『ルイ』と呼んで欲しいとお願いしただけだよ」
「身分高い魔族が、名を呼ぶ事を許可する行為は、自分のものであると下位の者に知らしめる『契約』だと伺っていますが、つまり今回に関しては、魔力による口頭契約ではないということですか?」
クリストファーが、非難するように目を細めた。
ルイは、困ったように微笑んで「契約ではないよ。『悪魔の恩恵』は与えていないから、安心して欲しい」と諭すような口調で答えた。
初めて聞くにしては物騒な響きの言葉が聞こえて、ティーゼは、しばし呆気にとられていた。


