「へぇ。教会に描かれているような感じなのかなぁ――つか、ルチアーノさんって三百年前の英雄を知っているんですね」
「先に言っておきますが、あの頃の私は魔王軍に入ったばかりの若輩者でしたので、人界の英雄の様子はあまり見てはいませんよ」
「いやいやいや、びっくりしたのは年齢の話しです」
ティーゼは顔の前で手を振って強く主張したが、ルチアーノには伝わらなかったようだ。訝しげに見つめ返されたうえ、視線だけで馬鹿にされた。
価値観も文化も違う種族同士だと、こうも話しが噛み合わないのか?
諦めの心境を悟りそうになったが、ティーゼはひとまず、少しでも現状を理解してもらうための努力はしようと思い、こう続けた。
「ルチアーノさん、私はまだ十六年しか生きていません」
「昨日聞きましたが、それがどうかしましたか?」
「……いや、なんでもないです」
賢い男なので、恐らく種族別の生態については正確に把握しているだろう。ただし、種族的に劣る生物について、もとより感心も興味もないから共感という概念がないのかもしれない。
「先に言っておきますが、あの頃の私は魔王軍に入ったばかりの若輩者でしたので、人界の英雄の様子はあまり見てはいませんよ」
「いやいやいや、びっくりしたのは年齢の話しです」
ティーゼは顔の前で手を振って強く主張したが、ルチアーノには伝わらなかったようだ。訝しげに見つめ返されたうえ、視線だけで馬鹿にされた。
価値観も文化も違う種族同士だと、こうも話しが噛み合わないのか?
諦めの心境を悟りそうになったが、ティーゼはひとまず、少しでも現状を理解してもらうための努力はしようと思い、こう続けた。
「ルチアーノさん、私はまだ十六年しか生きていません」
「昨日聞きましたが、それがどうかしましたか?」
「……いや、なんでもないです」
賢い男なので、恐らく種族別の生態については正確に把握しているだろう。ただし、種族的に劣る生物について、もとより感心も興味もないから共感という概念がないのかもしれない。


