「お子様なあなたに説明しても、徒労に終わりそうなので躊躇します」
「ストレートに教えてくれれば理解できますよ」

 さあ、どうぞ、とティーゼが不貞腐れた顔で促すと、ルチアーノは薄い笑みを浮かべた。

「いいでしょう、それではヒントを差し上げます。【予言の精霊】の血を引いた人間は、生涯で一度だけ、一人のためだけに未来を視ます。他に特殊な能力もなければ魔力さえ持ちませんが、それが他の精霊族とは違う最大の特徴です。だからこそ、国政に関わる予言も極端に少ない」

 ルチアーノはそう告げると、「分かりましたか?」と薄く微笑んだ。冷やかな美貌には、下等種を苛めるような愉快さが滲んでいた。

 正直、ちっとも分からない。ヒントが圧倒的に少ないような気がする。

 ある種の新しい嫌がらせなのではないだろうかと、ティーゼは、美貌の嫌味宰相を睨み付けた。けれど、彼の言葉の中に何かヒントがあるのでは……と素直にしっかりと考えてみる。