図書室に来て一時間以上が経過したが、数十枚の便箋を駄目にしたが、ルイの手紙はまだ完成していない。
さぞモテるらしいルチアーノに関しては、確かに言葉選びは素晴らしかった。しかし、彼は「とはいえ、陛下はご自身が贈るに相応しいお言葉をお探しでしょう」と、もっともらしい言葉で、助言を早々に諦めていた。
悩む上司を脇目に、ルチアーノの、愛の詩集に目を通す姿も様になるのが悔しい。暇を覚えると、冷ややかな嫌味を口にするのも忘れない腹黒宰相と、女性を褒める賛美の言葉を一生分聞き終えてしまったような疲労感に、ティーゼは打ちのめされた。
この一時間の苦労を思い返すと腹が立って来て、ティーゼは、テーブルに顎を乗せたまま、ルチアーノの涼しげな横顔を憎らしげに睨みつけた。
「……ルチアーノさんは、ロマンの欠片もないですよね」
「ロマンがなくとも跪く雌は多々います」
「あ~、冷たくあしらわれて喜ぶ系のお姉さんですか」
魔族の女性は、気丈なタイプが多い。ギルドのマリーが良い例で、ティーゼは容易に想像がついてしまう自分を悲しくも思った。
さぞモテるらしいルチアーノに関しては、確かに言葉選びは素晴らしかった。しかし、彼は「とはいえ、陛下はご自身が贈るに相応しいお言葉をお探しでしょう」と、もっともらしい言葉で、助言を早々に諦めていた。
悩む上司を脇目に、ルチアーノの、愛の詩集に目を通す姿も様になるのが悔しい。暇を覚えると、冷ややかな嫌味を口にするのも忘れない腹黒宰相と、女性を褒める賛美の言葉を一生分聞き終えてしまったような疲労感に、ティーゼは打ちのめされた。
この一時間の苦労を思い返すと腹が立って来て、ティーゼは、テーブルに顎を乗せたまま、ルチアーノの涼しげな横顔を憎らしげに睨みつけた。
「……ルチアーノさんは、ロマンの欠片もないですよね」
「ロマンがなくとも跪く雌は多々います」
「あ~、冷たくあしらわれて喜ぶ系のお姉さんですか」
魔族の女性は、気丈なタイプが多い。ギルドのマリーが良い例で、ティーゼは容易に想像がついてしまう自分を悲しくも思った。