「あの……、お会い出来てないんですか?」
「今回の討伐に関して、魔族は参加していないからね。ほら、魔力を解放した僕らを見ても、人間側には敵か味方かの違いが難しいじゃない? もしもの場合は、僕達も力を貸すつもりでいたんだけど、人間だけであっさり勝っちゃったみたいだから喜ばしいよ」

 あれ、妙だぞ、とティーゼは首を捻った。

「えぇと、ルイさんは、祝典の時は城にいらっしゃったんですよね? 確か、魔王と国王と英雄と姫様が揃っていたから、すごく盛り上がったと聞きましたが……」

 ティーゼは、パレードで幼馴染の無事は確認したものの、城の方までは行かなかった。英雄が城に到着し、国達の挨拶が始まった時は、既に酒屋のどんちゃん騒ぎに加わっていたためスピーチも全部は聞けていない。

 城では王族と英雄、そして今回の働きに携わった魔法使いや剣士などが揃い、そこには勿論、魔王の姿もあったと噂で聞いている。昼食会も開かれたというぐらいだから、魔王と英雄は、しばらく同じ空間にいたはずなのだ。