「花を贈ったり、ネックレスやブローチはプレゼントしたけれど、……言葉ではアピールしていなかったかもしれない」
「え、言葉にしていないんですか? つまり、告白も何もしていない?」

 ティーゼはてっきり、褒め言葉もすらすらと口に出来るルイが、必要以上に愛を語ってマーガリー嬢に警戒されている、と推測していただけに意外に思った。

「だって、緊張してしまうんだよ」
「緊張、ですか……」

 一番程遠い位置にいそうだが、恥じらうルイを見る限り恋愛には初心そうだ。

 ティーゼは、モテる幼馴染を思い起こし、比較して考えてみる事で、彼に何かアドバイス出来ないかと思案してみた。

「うーん、こんな良い声をしているのですから、女性なら、ストレートに愛情を伝えられればぐっと来るかと思われます。そうですよ、マーガリー嬢も恋愛には疎そうなので、ガンガン攻めていかないと伝わらないと思います!」
「え、僕の声が?」
「はい、恐ろしいぐらい良い声です。マーガリー嬢は、ルイさんの気持ちに気付いていないから不審がっているだけで、嫌いな男性のタイプではないと感じました」

 ルイが「そうなの?」とルチアーノへ視線を向けると、彼も「一理ありますね」と淡々と述べた。