視線が真っ直ぐ絡んだ瞬間、ティーゼは、強い緊張感を覚えて背筋をピンと伸ばした。すると、目の前の彼女が「緊張しないで」と気さくなに微笑んだので、今度は、別の意味でドキドキしてしまった。

「十四歳ぐらいかしら。男の子は忙しくなる年頃なのに、あなたも大変ね。ここでは見ない顔だけど、一般人?」
「はいッ。その、少し離れた町から遊びに来たんです」

 ティーゼは、美女と話している実感に興奮を覚えた。十四歳とは、随分小さい子供に見られているようだが、この美貌の微笑みを向けられるのであれば、十四歳の少年だと勘違いされてもいいと思えた。
 
 むしろ、勘違いさせた方が都合が良いのではないだろうか。

 女の子同士として、とルイは口にしていたが、少し考えてみると、彼の恋を応援する立場であるとするのなら、彼とは同性であると勘違いさせた方が、話しをややこしくしないで済むような気もする。

 十六歳の女友達だと打ち明けて、悪い方にこじれたら大変だ。

 そうなったら、彼の初恋が成就するのは更に難しくなる。