とはいえ、美しいという印象よりも、真っ先に威圧感で押されそうだった。

 敵を射殺さんばかりの眼差しと、厳しいピリピリとした雰囲気を見る限り、生粋の戦士である事を生き甲斐にしているようにも見える。ティーゼは、ルイの恋が進展していないのは、受ける側にそのつもりが毛頭にもない可能性を思った。


「……あの、つかぬ事を申し上げますが、そもそも彼女は、恋愛に興味を持ってくれますでしょうか」
「大人の男女は、誰でも燃えるような恋をするものだよ。見てよ、あの情熱的な瞳を」
「情熱的というか、あれは威圧的な――」
「まぁ見ててごらんよ」


 ルイはそう言って、色気たっぷりのウインクを一つすると、ティーゼが止める間もなく、堂々と歩いて行ってしまった。

 見ていてと言われたが、本当に大丈夫なのだろうか。

 ティーゼは不安になったが、ルチアーノに「陛下のおっしゃる通りに」と返されてしまい、ひとまずは、マーガリー嬢とルイのやりとりを観察する事にした。