「二人とも、ちゃんと見てごらんよ。先頭の騎士が彼女だよ。歩く時に、手が斜め十度違っているだろう? それから足音だって違うし、ほら、二秒かけて辺りを見回した時の首の傾き方とか、手を振り切った時の指の感じも、女性でしょう?」
甲冑の集団に瞳を輝かせるルイの発言を聞いて、ティーゼは咄嗟に両手で口を塞いだ。堪え切れず口まで這い上がって来た「何それ怖い」という言葉を、どうにか両手の内側に抑えつける。
すると、彼女の後方から通りの方を覗いていたルチアーノが、「ばっちり聞こえておりますが」と冷ややかな声を上げつつ、ティーゼに聞こえるよう囁いた。
「陛下は、常にあの方の様子を見に行かれておりますから、好みから不得意まで、現在はあらゆる事を把握されております。また、先日もスリーサイズがぴったりのドレスを贈り――」
「待って待って待って、それって一般で言うところのスト――」
「それは言わないで下さい。陛下のお耳が汚れます。恋は盲目と言いますでしょう、まさにソレです」
甲冑の集団に瞳を輝かせるルイの発言を聞いて、ティーゼは咄嗟に両手で口を塞いだ。堪え切れず口まで這い上がって来た「何それ怖い」という言葉を、どうにか両手の内側に抑えつける。
すると、彼女の後方から通りの方を覗いていたルチアーノが、「ばっちり聞こえておりますが」と冷ややかな声を上げつつ、ティーゼに聞こえるよう囁いた。
「陛下は、常にあの方の様子を見に行かれておりますから、好みから不得意まで、現在はあらゆる事を把握されております。また、先日もスリーサイズがぴったりのドレスを贈り――」
「待って待って待って、それって一般で言うところのスト――」
「それは言わないで下さい。陛下のお耳が汚れます。恋は盲目と言いますでしょう、まさにソレです」