ルイは、距離を縮めたくて頑張っているが、なかなか進展していないのだと、最後に吐息をこぼした。

「言い方や態度に、何かしら問題点があるのかなと悩んでいるところなんだよ。ほら、僕は魔族で、彼女は人間でしょう?」
「私からすると、種族の違いがあっても、恋愛感に大差はないように思いますけど……それで、私にどうしろと?」
「女の子同士の方が打ちとけやすいと思うし、まずは、本人を見てもらおうかと思って」
「えッ、そして仲良くしてもらおうって寸法ですか? その展開はさすがに早すぎません?」

 ティーゼは主張したが、ルチアーノが「偵察は大事ですよ」と真面目な顔で、上司を全力擁護した。

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 とても高価であろう紅茶と菓子を頂いてしまった事もあり、ティーゼは、渋々二人に付き合う事にした。ルイが喜々とした様子で闊歩する後ろを、ルチアーノと並んでついてゆく。

 しばらくすると、ルイが「あ」と何かに気付いて路地裏へと身を隠した。彼に手招きされるまま、ティーゼとルチアーノもそれに続き、彼が窺っている方へ物陰から顔を覗かせた。