彼女は甘いクッキーで気を取り戻すと、こちらを微笑ましそうに見つめている魔王――ルイに向き直って尋ねた。

「で、一体どういう事なんですか? 先に言っておきますが、私は恋愛経験ゼロですよ」
「そんなこと一見して予測済みです」
「あなたには質問していませんが」
「まぁまぁ落ち着きなよ、二人とも。君たちだけ仲良くなって羨ましい」

 これで仲が良いように見えるのか、という指摘は、階級に弱い一般市民と部下の口からは出て来なかった。

 二人が黙りこんだのをいい事に、ルイは、想い人について話し始めた。

 お相手は人間の女性で、とても情熱的で女性にしては背が高いらしい。しかし、ルイは、魅力的な女性という表現を言い換えた説明を長々と続け、ティーゼは結局のところ、その女性について詳しく知る事は出来なかった。

 彼が言うには『とても美しく気高い方』なのだという。

 美貌の魔王の心をがっちりと掴んだぐらいだから、かなりの美女なのだろうなと、ティーゼは自分なりに推測を立てた。