「ああ、ティーゼ。そんな反応をされると、今すぐ全部欲しくなってしまうよ」
「ぜ、全部って……?」
恐る恐る問い掛けると、クリストファーがそっと唇を寄せて、「今度教えてあげる」とはぐらかすように良い声で囁いた。そして、そのまま、何故かもう一度傷跡にキスをされたうえ、ペロリと舐められた。
もはや理解が追い付かず、羞恥が限界を超えたティーゼは、クリストファーに抱えられたままふっと意識を失った。
※※※
二人の様子を、壁際から見守っていたクラバートとベルドレイクが、涙を呑んで「本当に良かった」「これで平和が保たれる」と呟き、ようやく緊張が解けてその後に座りこんだ。
その近くで控えていたルチアーノが、呆れたように二人の男達を見降ろした。ルチアーノは小さく息を吐くと、ティーゼ達へと視線を戻した。
「お似合いだとは思いますが、何だか惜しい気もしますね」
魔王の友人であるのなら、宰相にとっても親しい友人であっておかしくはない。口にしたらティーゼが調子に乗りそうなので、まだ伝えてはいないが。
そもそも、ルチアーノには友人がいた事はないので、よくは分からないでいた。
主人も上手くマーガリー嬢にプロポーズを成功させ、どうやら承諾ももらえたようなので、ひとまずは、この平和的な結果を喜ぶべきだろう。
さて両者の婚約祝いには何を贈ろうか、と思考を切り替えたルチアーノは、何故か主人ではなく真っ先にティーゼの笑顔を思い浮かべ、人間の少女が驚くような贈り物について考え始めたのだった。
了
「ぜ、全部って……?」
恐る恐る問い掛けると、クリストファーがそっと唇を寄せて、「今度教えてあげる」とはぐらかすように良い声で囁いた。そして、そのまま、何故かもう一度傷跡にキスをされたうえ、ペロリと舐められた。
もはや理解が追い付かず、羞恥が限界を超えたティーゼは、クリストファーに抱えられたままふっと意識を失った。
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二人の様子を、壁際から見守っていたクラバートとベルドレイクが、涙を呑んで「本当に良かった」「これで平和が保たれる」と呟き、ようやく緊張が解けてその後に座りこんだ。
その近くで控えていたルチアーノが、呆れたように二人の男達を見降ろした。ルチアーノは小さく息を吐くと、ティーゼ達へと視線を戻した。
「お似合いだとは思いますが、何だか惜しい気もしますね」
魔王の友人であるのなら、宰相にとっても親しい友人であっておかしくはない。口にしたらティーゼが調子に乗りそうなので、まだ伝えてはいないが。
そもそも、ルチアーノには友人がいた事はないので、よくは分からないでいた。
主人も上手くマーガリー嬢にプロポーズを成功させ、どうやら承諾ももらえたようなので、ひとまずは、この平和的な結果を喜ぶべきだろう。
さて両者の婚約祝いには何を贈ろうか、と思考を切り替えたルチアーノは、何故か主人ではなく真っ先にティーゼの笑顔を思い浮かべ、人間の少女が驚くような贈り物について考え始めたのだった。
了