自らの変化に気付く余裕もないティーゼは、目の前のクリストファーをすっかり意識してしまい、何と答えていいのか分からず、口を開いたり閉じたりしていた。

 こんなに好きだと全身で語られたら、もうただの幼馴染として見られるはずがない。

 クリストファーが誰よりも優しくて、格好いい事なんて、ティーゼが一番よく知っているのだ。乙女なんて自分には合わないと言い聞かせて距離を置かないと、彼の好意を勘違いして、好きになってしまったらどうすると、早い思春期の時代に封印したのだ。

 本当に? 本当に私でいいの? この傷のせいでもなくて……?

 訊きたい事は沢山あるのに、顔に集まった熱のせいで涙腺が緩み、ティーゼは声も出なかった。自覚した乙女心に頭は沸騰しそうだし、クリストファーと恋人同士になったら、という恥ずかしい妄想が次々と想像されて、余計に羞恥心も止まらない。


 どうしよう、クリスが世界で一番素敵な男性にしか見えない。この人のそばに、ずっと居ても良いなんて贅沢過ぎる。