「初対面の人にはよく間違えられるのに、よく私が女の子だと分かりましたね」
「人間族と一緒にしないでいただきたいですね。雌雄の区別くらい幼子でもつきます」

 魔王のそばで控えていたルチアーノが、間髪入れずそう指摘した。

「ちなみに、年頃ではないので問題にはなりませんが、独身の女性が男性に長く触れられるのは頂けないので、将来の為にも覚えておいてほうがいいでしょう」
「私はこう見えても十六歳です!」

 この国では、十五歳からは成人として扱われて飲酒も認められていた。女性であれば、十六歳からは結婚も可能な年頃なのだ。

 すると、魔王が驚いたように目を見開いた。対するルチアーノは、実に残念な生き物を見るような目をティーゼの胸元に向ける。

「――なるほど。人間にしては成長機能が上手く働いていない、という事ですか」
「お前今どこ見たッ? これは盛っていないだけであって、全くないわけじゃないんです!」