「ほら、大きなものじゃないし、ティーゼはこういう小振りなアクセサリーが好きでしょう?」
「確かに、物凄く可愛いけど……」

 花の形に細工された銀の中に、小さな青い宝石が一つあるシンプルなネックレスだった。

 ティーゼは、いつも町中で可愛らしい装飾品を見掛けるたび、男の子の恰好では隠れて見えなくなってしまうし、そこにお金を掛けるのは勿体ないとも感じて、購入には踏み切れないでいた。

 それにしても、どうして彼がその事を知っているのだろうか。

 物凄く好みのネックレスではあるので、安い物であるのなら欲しいとも思う。貯金で足りるのなら、後でクリストファーにお金を渡せばどうにかなる、のか……?

「気に入ってもらえて良かったよ」

 ティーゼが悩ましげに考えている間にも、クリストファーが正面から腕を回し、ティーゼの細い首にネックレスをかけて、慣れたように首の後ろでとめた。

 彼は満足そうに目を細めると、何がなんだか分からない、というように首を傾げたティーゼの手を取り、会場の中へと促した。