幼い執着は一時のものだろうと踏んでいただけに、次第に濃厚になってゆくクリストファーの囲いぶりは、周りの目から見ても恐ろしいほどだった。

 これが普通の相手であれば、国王や周りの権限でどうにか修正も出来たかもしれない。しかし、クリストファーは普通の子供ではなかった。『予言の精霊』の血が混じった夫婦が説いたように、彼は人間を超越した戦闘能力と素質を秘めた英雄なのである。

 クラバートは、以前ベルドレイクから、クリストファーが半魔族王への討伐の旅を渋った際、国王と上の人間の一部が、幼馴染の彼女との婚約、もしくは結婚が出来るよう取り計らうと仄めかした事を聞かされていた。

 その効果があってか、クリストファーは「分かりました」の一言で旅に出た。

 最短時間で伝説の魔法の剣を手にし、パーティーメンバーの疲れようにも目を向けず、ハイスピードで半魔族の群れを打ち倒し、最後はほぼ単身で半魔族王の首を取った。