「うわぁ、それはまた無理な事を……。あいつが半魔族の討伐に乗り出したのも、幼馴染と自分の結婚を法律的に認めさせるため、なんでしょう?」

 元々、クリストファーが半魔族へ向ける怨念は凄まじいものだった。しかし、なかなか王都を離れようとしなかったのは、可愛い幼馴染の存在があったせいだ。

 クリストファーは、これまで徹底して、幼馴染の少女の目が他の男に向かないよう動いていた。ちょっかいを掛ける同僚や、ちょっかいをかけそうになる仲間さえ容赦なく戦意消失に追い込んだ。少し過剰反応過ぎやしないだろうかと思うが、どうもその少女に流れている精霊族の血の特徴のせいであるらしい、とは噂に聞いた。


 王族、貴族の中では『予言の精霊』の血を引いた人間の特徴は有名だった。それは、なんともロマンチックな特性で、彼らは自然と愛されるように出来ている。人間的な思考によって発生条件に差は出るらしいが、その瞬間に立ち会えば、精霊王の祝福が与えられ、その土地は潤うともいわれていた。