男性にしては少し長い艶やかな漆黒の髪と、対象の如く白い肌に映える紅玉のような瞳。色香のある美貌の微笑みが目を引き、親愛も窺える目元は優しげだ。幼馴染のおかげで、美貌には耐性がついていたので、ティーゼは見惚れる事はなかった。
しかし、彼女は、漆黒の髪を見た途端に強い眩暈を覚えていた。
この世界で、黒い髪を持った人物が一人しかいない事ぐらい、世間に疎いティーゼも知っている。
「……もしかして、あなたが魔王さんですか?」
「はい。僕が魔王です」
出来れば現実であって欲しくないと感じ、ティーゼは、ついて疑問を口から滑らせていた。すると、美青年が気にした様子もなく、あっさりと答えてしまう。
想像以上に威圧感のない、むしろ親しみ度が半端ない柔和な表情の魔王に、ティーゼは一瞬、ルチアーノとの温度差を比較してしまった。自分との身分に天と地の差があるのは一目瞭然で、彼女は数秒遅れて、慌てて頭を下げた。
しかし、彼女は、漆黒の髪を見た途端に強い眩暈を覚えていた。
この世界で、黒い髪を持った人物が一人しかいない事ぐらい、世間に疎いティーゼも知っている。
「……もしかして、あなたが魔王さんですか?」
「はい。僕が魔王です」
出来れば現実であって欲しくないと感じ、ティーゼは、ついて疑問を口から滑らせていた。すると、美青年が気にした様子もなく、あっさりと答えてしまう。
想像以上に威圧感のない、むしろ親しみ度が半端ない柔和な表情の魔王に、ティーゼは一瞬、ルチアーノとの温度差を比較してしまった。自分との身分に天と地の差があるのは一目瞭然で、彼女は数秒遅れて、慌てて頭を下げた。