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騎士団の支部に戻ったクラバートは、執務室の椅子に腰かけると、保留状態のままにされていた魔法通信機の通信をオンにした。執務机と同じぐらいの大きさがある機械を、必要になるたび引き寄せて移動するのは面倒だが、通信相手の顔が見られるのは便利だとも思う。
魔法水晶から浮かび上がった光りに投影されたのは、力のない白髪をした四角い顔のベルドレイクその人だった。どうやら、ずっと通信機の前で待っていたらしいと気付いて、クラバートは、怪訝を露わに彼を見つめた。
普段であれば、少し離れたところで珈琲を飲んでいる姿が映るはずだが、ベルドレイクは長椅子に腰かけたまま、指を組んでじっと机の上に視線を落とし座り込んでいる。
ベルドレイクは、公爵家に所縁のある人間だ。
陽に焼けたいかつい顔立ちをしており、鋭い眼光一つで相手を竦み上がらせる男だが、友人の娘であるマーガリー嬢をひどく溺愛しており、彼女の前で恰好良いところを崩すまいと努力しているのを、彼と親しい人間は知っていた。
騎士団の支部に戻ったクラバートは、執務室の椅子に腰かけると、保留状態のままにされていた魔法通信機の通信をオンにした。執務机と同じぐらいの大きさがある機械を、必要になるたび引き寄せて移動するのは面倒だが、通信相手の顔が見られるのは便利だとも思う。
魔法水晶から浮かび上がった光りに投影されたのは、力のない白髪をした四角い顔のベルドレイクその人だった。どうやら、ずっと通信機の前で待っていたらしいと気付いて、クラバートは、怪訝を露わに彼を見つめた。
普段であれば、少し離れたところで珈琲を飲んでいる姿が映るはずだが、ベルドレイクは長椅子に腰かけたまま、指を組んでじっと机の上に視線を落とし座り込んでいる。
ベルドレイクは、公爵家に所縁のある人間だ。
陽に焼けたいかつい顔立ちをしており、鋭い眼光一つで相手を竦み上がらせる男だが、友人の娘であるマーガリー嬢をひどく溺愛しており、彼女の前で恰好良いところを崩すまいと努力しているのを、彼と親しい人間は知っていた。