「別に怖い事なんて何もありませんから、どうか落ち着いて下さい。可愛い子に青い顔されるのは苦手ですし、不安にさせたとあったら俺が殺され――ごほっ。とにかく、怖い事なんてなぁんにもありませんから!」
「私は可愛くもなんともないんですけど……物騒な事でも起こるのかと、びっくりしちゃって」
「そ、そんな訳ないじゃないですか。いやだなぁ、あははははは…………」
なんだ、ただの取り越し不安だったらしいと、ティーゼは安堵の息を吐いた。
クラバートの様子から事情を察したルチアーノが、呆れたような眼差しをティーゼの横顔に向けた。それから、彼は諦めたように吐息をこぼすと、クラバートへ視線を戻した。
「陛下がマーガリー嬢を舞踏会に誘い、先程承諾を頂けました」
「ようやくですか。うちは常に暇ですから、空きが出ても全然問題ないですよ。彼女には、俺みたいに婚期を逃されても困りますから、うまい事やっちゃって下さい」
その時、向こうの通りから「団長~!」と緊急を知らせるような声が上がった。クラバートが声のする方へ顔を向けて「なんだろう」と不思議そうに首を捻った。
「私は可愛くもなんともないんですけど……物騒な事でも起こるのかと、びっくりしちゃって」
「そ、そんな訳ないじゃないですか。いやだなぁ、あははははは…………」
なんだ、ただの取り越し不安だったらしいと、ティーゼは安堵の息を吐いた。
クラバートの様子から事情を察したルチアーノが、呆れたような眼差しをティーゼの横顔に向けた。それから、彼は諦めたように吐息をこぼすと、クラバートへ視線を戻した。
「陛下がマーガリー嬢を舞踏会に誘い、先程承諾を頂けました」
「ようやくですか。うちは常に暇ですから、空きが出ても全然問題ないですよ。彼女には、俺みたいに婚期を逃されても困りますから、うまい事やっちゃって下さい」
その時、向こうの通りから「団長~!」と緊急を知らせるような声が上がった。クラバートが声のする方へ顔を向けて「なんだろう」と不思議そうに首を捻った。