ティーゼは、「おや」というような表情をする背後のルイとルチアーノの反応に気付かないまま、必死に問い掛けて来る割りには、見えないバリケードを置いたように近づいて来ない男を見て、戸惑いつつ小首を傾げた。
こちらの良心をピンポイントで抉って来るルイの視線から逃れたティーゼは、困惑しつつも、唐突に現れた中年騎士の前に一歩進み出た。
すると、男が若干怯えるように肩を強張らせて、不自然なぐらい急に静かになった。
「あの、失礼ですが、どちら様で……?」
「え。ぁ、俺、いえ私はッ、国境騎士団第三師団長のクラバート・サガリと申しますッ」
「はぁ。それで、クラバートさんは一体どんなご用――」
「ひぃぃいいい!? 頼みますから名前で呼ばないで下さいッ、せめて『団長』でお願いします! オーブリーと同じ消し炭になるのは勘弁願いたいのです!」
……この人、さっきから何を言っているんだろうか。というか、オーブリーって、誰……?
こちらの良心をピンポイントで抉って来るルイの視線から逃れたティーゼは、困惑しつつも、唐突に現れた中年騎士の前に一歩進み出た。
すると、男が若干怯えるように肩を強張らせて、不自然なぐらい急に静かになった。
「あの、失礼ですが、どちら様で……?」
「え。ぁ、俺、いえ私はッ、国境騎士団第三師団長のクラバート・サガリと申しますッ」
「はぁ。それで、クラバートさんは一体どんなご用――」
「ひぃぃいいい!? 頼みますから名前で呼ばないで下さいッ、せめて『団長』でお願いします! オーブリーと同じ消し炭になるのは勘弁願いたいのです!」
……この人、さっきから何を言っているんだろうか。というか、オーブリーって、誰……?