「いいえ、予想通りな子だと思って……私も仕事に生き甲斐を感じているわ」

 あなたこそ想像通りの人物だと思いました。

 ティーゼは心の中で呟きながら、ルイから彼女へ送られた手紙の存在を思い浮かべた。手紙の中身が、甘い愛の言葉を囁くような内容で綴られていた事は覚えているが、全部読んだ訳ではないので、そこに結婚を考えさせられるような一文があったかは分からない。

 とはいえ、結婚か。

 ティーゼは、マーガリー嬢のモテモテ具合を想像した。すると、彼女のドレス姿まで妄想して気分が急激に上がって来た。

「マーガリーさんは、私から見ても凄く美人で色気むんむんで、さぞかし結婚したい男性も多いのではないかと思いますッ」
「どうしてあなたが興奮するのかしら?」

 まるで小さな男の子みたい、とマーガリー嬢が柔らかく笑った。

 こうして肩から力を抜いているマーガリー嬢は、怖い騎士というイメージがなかった。ルイやルチアーノに向けていたような眼差しの強さも、彼ら離れてからは一度も見ていない。