普通に接客してもらっても構わないのに。ちょっとぐらい異形でもびっくりしないよ、という気遣いをティーゼの眼差しに見て取ったルチアーノが、紅茶をゆっくりと下げながら「そうですね」と、しばし思案するような間を置き、形の良い唇を動かせた。
「半魔族が魔獣に変化した姿よりも異形、でしょうかね。ヒントを申しますと、目は複数、腕が八本、皮膚がな――」
「わぁぁあああ! 分かったッ、分かりましたから続きを言わないで下さい!」
ティーゼは、慌ててルチアーノの台詞を遮った。使用人と呼ぶには、個性過ぎる姿形をしているのだなと無理やり納得して、想像しそうになった思考を大急ぎで止めた。
昨晩一泊した件も含めて、直接礼を言いたいと思っていたのだが、心の準備を整えないといけないのですぐには無理そうだ。本人達を前にして、悲鳴を上げて逃げてしまったとしたら物凄く失礼だし、傷つけてしまうかもしれない。
そう考えながら口にしたスコーンも、実に彼女好みのハーブ味で、ティーゼは申し訳なさに気分が沈んだ。
「半魔族が魔獣に変化した姿よりも異形、でしょうかね。ヒントを申しますと、目は複数、腕が八本、皮膚がな――」
「わぁぁあああ! 分かったッ、分かりましたから続きを言わないで下さい!」
ティーゼは、慌ててルチアーノの台詞を遮った。使用人と呼ぶには、個性過ぎる姿形をしているのだなと無理やり納得して、想像しそうになった思考を大急ぎで止めた。
昨晩一泊した件も含めて、直接礼を言いたいと思っていたのだが、心の準備を整えないといけないのですぐには無理そうだ。本人達を前にして、悲鳴を上げて逃げてしまったとしたら物凄く失礼だし、傷つけてしまうかもしれない。
そう考えながら口にしたスコーンも、実に彼女好みのハーブ味で、ティーゼは申し訳なさに気分が沈んだ。