一体どういう事だろうか、と思い返し考えてみたティーゼは、ふと、もう一つの可能性に思い至った。

 もしかしたら、マーガリー嬢もティーゼと同じように、恋愛経験がないのではないだろうか。だから、初めてのラブレターに驚いてしまい、動揺して言葉も出ないまま「ちょっと待って頭を整理するから!」という気持ちで走り去ったとも考えられる。

 ……いや、私じゃないんだから、そんな事はない、と思う。

 マーガリー嬢は、迫力ある素晴らしい美人だ。大人びた美貌に、洗練された美しさも兼ね備え、ルイの甘い台詞を辛辣に切り捨てるぐらいの余裕を持っている。まさかそれはないだろうと、ティーゼは脳裏に浮かんだ可能性に「ないない」と一人で突っ込んだ。

「それで、幼馴染の彼とは和解出来た?」
「まぁ、最終的には怒っていなかったので、和解は出来たんじゃないかと思います」

 テラス席に腰かけたルイに、ティーゼはそう答えた。直前に一騒動はあったものの、結果として和解した事になるだろう。過去の事件に関しては、近いうちに機会を見付けて、改めてもう一度話し合おうとは考えている。